HAE DAY患者交流会・参加レポート

HAE DAY患者交流会・参加レポート

2017年5月13日(土)、埼友草加病院(埼玉県)にて「HAE(遺伝性血管性浮腫) 患者交流会」が開催されました。5月16日の「世界HAE Day」にちなみ、NPO法人HAEジャパンが、HAE患者の交流の場として、また、HAEについて多くの人に知ってもらうために開催したのがこの患者交流会です。この日の参加者は、主に患者とそのご家族で、計30名ほど。患者や家族ではなくても参加者できるということで、私もお邪魔してきました。当日の様子をレポートさせていただきます!

 

赤ちゃんから70代までが参加

30分前に会場に到着すると、すでに20人近い参加者が集まり、談笑しながら会場の準備をしていました。来場者には、お茶とお菓子、記念のタオルが配布されていましたよ。みなさん、初参加の私を「どうぞどうぞ」と温かく迎え、中に招き入れてくださいました。参加者は赤ちゃんから70代まで。私が抱いていた「患者交流会」のイメージとはあまりにも違い、賑やかで明るく、アットホームな雰囲気が印象的でした。

 

第一部:医師の講演でHAEの最新情報を知る

第一部は講演会で、最初に、順天堂大学医学部付属浦安病院 腎・高血圧内科 本田大介医師より、「HAE(遺伝性血管浮腫)について~初めての人にもわかるHAE~」と題してお話がありました。

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本田医師の説明によると、HAEの診断に必要なのは問診と血液検査だけなので、診断は比較的易しく、有効な治療法も存在します。ただ、医療関係者の間でも病気の認知度が低いために、適切な診断と処置がされないことが多いことが課題だということです。日本には2,000人ほどの患者がいると推定されるものの、現在、診断されているのは400人程度とのこと。社会全体への啓蒙活動が求められているのですね。

患者会の存在については、「患者の声こそが政府、行政を動かす原動力となるので、患者会の存在は非常に大事」とのご意見でした。

次に、埼友草加病院院長でありHAE専門外来の大澤勲医師から「HAE(遺伝性血管浮腫)~日本の現状と今度の動向~」と題してお話がありました。

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2016年に日本でもHAEの治療および抑制に効果がある薬剤ベリナートPの発症前の投与がやっと認められるようになりました。現在、自己注射(持ち帰り処方)ができるよう、要望しているそうですが、自己注射ができるようになると、旅行や出張時の不安が払しょくされ、患者さんのQOLも上がりそうですね。

大澤医師は、「どうしても医師は病気の治療がメインになり、患者さんの悩みをじっくり聞くことはできないので、患者同士が悩みを共有できる患者会は貴重な存在」と語ってくださいました。

 

第二部:ノルディックウォーキング体験会

講演会のあとは、日本ノルディックウォーキング協会マスタートレーナー荒川さんの指導によるノルディックウォーキング体験でした。

なぜノルディックウォーキングなのでしょう?HAEジャパン事務局長今村さんは、「HAE患者は、発作を心配して、運動を躊躇する傾向にあります。まずは体に負担の少ないノルディックウォークを経験して、楽しく体を動かすきっかけにしてほしい」とのこと。

2016年のHAE DAYには、HAEi(HAE国際患者会)の主催で、スペインの巡礼地を歩くイベントがあったそうです。HAEジャパン理事長で自身もHAE患者山本ベバリーアンさんも参加し、今では10キロマラソンに出るほど運動が好きになっているそうです。

さて、実際のウォーキング体験会では、最初はポールの使い方に慣れず、ぎこちなかった参加者のみなさんも、30分の体験会が終わる頃には慣れた様子でスタスタ歩かれていましたよ。終始笑い声が絶えない、楽しい時間となりました。

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参加者からは、「初めての体験だったけれど楽しかった」「ダイエットしなきゃと思いながらも運動できていなかったので嬉しい」「これからも続けたい」などの感想がありました。「ポールを買いたい」という前向きな発言もありました!

 

第三部:患者交流会で情報交換

最後の患者交流会では、輪になって自由にトークを楽しみました。

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「物が顔にぶつかったことがきっかけで、顔が腫れたのです」「胃腸に症状が出ると、涙が出るほど痛いですよね」など、症状や経験をお互いに共有。「あー、わかる!」と共感の声があがります。「病院に行ったけれど、薬をもらえなかった」というエピソードを語った人には、他の患者さんから、「そういうときは、『HAEの特効薬があるので処方して欲しい』としつこく説明した方がいいわよ」というアドバイス。「手がこんなに腫れてびっくり」と女性が携帯電話で見せる画像をみんなでのぞきこみ、「そうそう、これぐらい腫れるよね」と盛り上がるシーンもありました。

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参加者のみなさまの感想

清水さん(60代)

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沖縄に住む娘さん(20代)がHAE患者だという清水さん。今回、娘さんは参加していませんが、清水さんは運営委員として会の開催に携わっています。

「娘は3~4年前に沖縄で発症。症状をネット検索して、自分で『HAEではないかと思う』と医師に伝え、検査してもらったところ、診断がつきました。病名がわからず、不安な思いをしている方もたくさんいると思いますので、HAEが広く認知されればいいと思っています。患者交流会は、医療の最新情報も、患者さんの生の声も、どちらも得ることができるので心強いです」

 

鍵山さん

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広島から妹さんと参加した鍵山さん(右)。妹さんは発症していませんが、いずれ血液検査を受けることを考えているそうです。

「主治医の出張中に発症したときは、HAEジャパン事務局長の今村さんに『こういう症状が出た』と連絡したら『同じような症状の人がいましたよ』と教えてもらえました。HAEジャパンには、医師も知らないような、患者さんの症例が集まっています。患者交流会には、今後もなるべく参加したいと思っています」。

 

山岸さん親子(お母様50代、息子さん20代)

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大阪から参加の山岸さん親子。お母様は息子さんを妊娠中に手がむくんだのが最初の発症だったそうですが、なかなか診断がつかず、苦労されました。息子さんは発症していませんが、患者交流会にはいつも親子で参加しているそうです。

息子さん「母一人で参加させるのは心配なので、一緒に参加しています。他ではなかなか出会えないような立派で優しい方々に会うことができ、安心感があります」。

お母様「患者交流会には、苦しみを共有できる仲間がいるので精神的に助かっています。たとえ親しい友人であっても、病気の話を理解してもらうのは難しいと実感していますし、友人の負担になっては申し訳ないという気持ちもあり、病気のことはあまり話さなくなりました。勤務先でも、突然の発作で休むと迷惑をかけてしまいますので、私自身とても負い目を感じています。そんな中、同じ病気の人達と話し、笑い合える患者会の存在に救われ、癒されています」。

 

高岸さん夫妻(30代)

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運営委員でもある高岸さん夫妻。奥様が結婚前から発症していたそうです。

旦那様「患者交流会は、患者同士のきずなが生まれ、同じ症状の人と出会える貴重な機会です。HAEを一般の方に知ってもらうことが課題ですので、メディア、ネット等で情報発信をしていきたいと思っています」

奥様「私は発症から診断がつくまで17年かかり、その間辛いこともたくさんありました。ずっと一人だと思っていたので、辛さを分け合えるみんなとの出会いは嬉しいです。多くの人に参加してもらい、一緒に楽しい経験をしていきたいです」

 

路明さん夫妻(60代)

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HAE患者の奥様は、小さいころから症状が出ていたものの、診断がついたのは10年前だそうです。

旦那様「病名がわかっただけで希望がもてましたが、患者交流会では、今後の不安を取り除くことができるのでありがたいです」

奥様「一般的に知られていない病気なので、発症して顔が腫れた時に『伝染するのでは』と思われるなど、偏見や誤解があると感じています。もっと社会での理解が深まればいいと思っています」

 

清水さん(70代女性)

患者交流会は今回が初参加の清水さん。主治医の先生のご紹介です。

「父と姉もHAEを発症していたのですが、二人とも亡くなり、周りに病気のことを共有できる人がいませんでした。他のHAE患者さんにも、患者会への参加を大いにお勧めしたいですね」。

清水さんは、友達や近所の方にも、病気を公表しているそうです。「隠していると、症状が出たときに人と会うのがイヤになりますから、病気のことをわかってもらっている方が楽なのです」とのことでした。

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最後に、事務局長の今村さんからメッセージをいただきました。

「患者交流会に来ると、辛いことを共有して楽になりますし、遠慮なく自然な会話ができるので、参加者には、とても喜んでいただいています。HEAジャパンは、これからもHEAについての情報提供はもちろん、他の難病患者さんとの交流や楽しいイベントの企画、啓蒙活動などを通じて、患者さんのQOLを上げることを模索していきたいと思います」。

今村さんも、「私たちHAE患者は、症状のないときは、とても元気で普通の生活をしています」とおっしゃっていましたが、本当にその通り。今回の交流会でも、どなたが患者さんで、どなたがご家族なのかわからないぐらい、みなさんお元気。ノルディックウォーキングにも嬉々として取り組んでおられ、思った以上に楽しい会でした。

HAEの発症で苦しんでいる方が、一日でも早く正しく診断されますように、一人でも多くの患者さんが、患者交流会に参加することで、明るい気持ちになれますように、そう願わずにはいられません。

 

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