HAEを知る
HAE(遺伝性血管性浮腫とは?)の病気について理解を深めていただけるページです。
遺伝性血管性浮腫とは?
遺伝性血管性浮腫(HAE: Hereditary angioedema)は、遺伝子の変異が原因で血液の中にあるC1-エラスターゼ・インヒビター(C1-インヒビターともいう)の機能が低下する病気です。 体のいたるところに2-3日持続する腫れや「むくみ」(血管性浮腫という)を繰り返します。 個人差がありますが、10歳から20歳代に発症することが多く、皮膚(手足、顔面、生殖器など)が腫れた場合は、一見すると「じんま疹」似ていることがありますが、強いかゆみを伴わないのが特徴です。 特にのどが腫れる場合は呼吸困難におちいり、生命の危険を来す可能性があります。 一方、お腹(胃や腸)が腫れると腸閉塞と同様に嘔吐したり、強い痛みを感じることがあります。
症状が出現するきっかけや頻度
怪我、長時間の圧迫、抜歯、外科手術、ストレスなどがむくみのきっかけとなりますが、なんのきっかけもなく出現することも多く、その原因を特定することが難しい場合もあります。 発作の頻度は一定せず、一週間に数回集中的に起こることもあれば、発作の間隔が数年から数十年あくこともあります。 また、女性の場合は月経の際にお腹(胃や腸)の腫れを繰り返すこともあります。
診断には
- 血管性浮腫の出現を確認する→腫れや「むくみ」のある部位をカメラ付携帯電話やデジタルカメラなどで撮影しておき、担当医に見せると良い。
- 家族歴を確認→80%程度の患者さんでは血縁者に同じような症状を持つ人がいます。そのほかの20%程度の患者さんでは、その患者さんに初めて遺伝子異常が出現しているため、ご自分のご両親や兄弟姉妹には同様の症状を表す人はいません。
- 血液検査を行う→主にC1-エラスターゼ・インヒビターの機能(活性)と補体C4の濃度が低いことが特徴的です。「むくみ」を起こすほかの病気もできる限り除外診断を進めます。必要に応じて遺伝子検査をする場合もあります。
治療について
- 浮腫の発作が出たとき(発作時): 血漿分画製剤であるC1-エラスターゼ・インヒビターを静脈内投与することで効果が得られます。過去に何度も発作を経験していれば、外見上(見た目が)どんなに軽いむくみでも、むくみが放置してもよくなるのか、重症化するのか、ある程度患者さん自身が予測できることがありますので、治療の必要性を感じたら、担当医によく説明し早めに投与するのが良いでしょう。
- 浮腫の予防について: 保険診療上は、今のところ国内で予防に使える薬はありません。実際は、慢性蕁麻疹などに使われるトラネキサム酸や、副作用に注意が必要ですが効果の高いアンドロゲンが使われています。ただし、体に侵襲のある手術や抜歯などの際は、これらの治療そのものが発作のきっかけになることが心配ですので、前もってC1-エラスターゼ・インヒビターを投与することもあります。HAEガイドライン
費用について
HAEは、国が指定する指定難病の「原発性免疫不全症候群」に含まれる疾患として認定されています。保健所で所定の申請手続きを行い、認定されると医療費の助成を受けることができます。申請方法などの詳細はこちら
HAEに関する動画のご紹介
HAEをわかりやすく理解いただける動画をご紹介します。
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HAEとは?
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