治療情報

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治療について

治療について
    • 浮腫の発作が出たとき(発作時): 血漿分画製剤であるC1-エラスターゼ・インヒビターを静脈内投与することで効果が得られます。過去に何度も発作を経験していれば、外見上(見た目が)どんなに軽いむくみでも、むくみが放置してもよくなるのか、重症化するのか、ある程度患者さん自身が予測できることがありますので、治療の必要性を感じたら、担当医によく説明し早めに投与するのが良いでしょう。
    • 浮腫の予防について: 保険診療上は、今のところ国内で予防に使える薬はありません。実際は、慢性蕁麻疹などに使われるトラネキサム酸や、副作用に注意が必要ですが効果の高いアンドロゲンが使われています。ただし、体に侵襲のある手術や抜歯などの際は、これらの治療そのものが発作のきっかけになることが心配ですので、前もってC1-エラスターゼ・インヒビターを投与することもあります。HAEガイドライン


HAEの急性発作時のオンデマンド治療薬と予防薬について日本(PMDA)、米国(FDA)、欧州(EMA)それぞれの承認状況を共有致します。

  PMDA(日本)FDA(米国)EMA(EU)
No治療自己投与医師投与
1Berinert®(ベリナート)
血漿由来のC1インヒビター。 Berinert®は、静脈内に投与され、自己投与は米国、EUで承認されています。
会社:CSL Behring
2Cinryze™(シンライズ)
血漿由来のC1インヒビター。 Cinryze™は、静脈内に投与され、自己投与は米国、EUで承認されています。
会社:武田薬品
3Firazy®(フィラジル)
ブラジキニン受容体拮抗薬。 Firazyr®は、皮下に投与(皮下注射)され、自己投与は日本、米国、EUで承認されています。
会社:武田薬品
4HAEGARDA®—Berinert®2000/3000(へガーダー)
血漿由来のC1インヒビター。 HAEGARDA®は、皮下に投与(皮下注射)され、自己投与は米国、EUで承認されています。
会社:CSL Behring
5Kalbitor®(カルビトール)
血漿カリクレイン阻害剤。 Kalbitor®は、皮下に投与(皮下注射)され、米国で承認されています。
会社:武田薬品
6Ruconest®(ルコネスト)
遺伝子組換えC1インヒビター。 Ruconest®は、静脈内に投与され、自己投与は米国、EUで承認されています。
会社:Pharming Group
7TAKHZYRO™
血漿カリクレインを阻害する完全ヒトモノクローナル抗体。 TAKHZYRO™は、皮下に投与(皮下注射)され、自己投与は米国、EUで承認されています。
会社:武田薬品
PMDA:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
PMDAは、医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して、迅速な救済を図り(健康被害救済)、医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し(承認審査)、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う(安全対策)ことを通じて、国民保健の向上に貢献することを目的としています。
FDA: アメリカ食品医薬品局
EMA: 欧州医薬品庁

翻訳文責:
本田大介先生(順天堂大学浦安病院腎臓内科医、HAEJ協力医師)
山本由仁(HAEJ運営委員)